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猫の好酸球性硬化性線維増殖症(犬・猫)さいたま市/南浦和/川口市/動物病院

こんにちは。獣医師の佐々木です。今日は私の飼育するペットの病気について書いてみようと思います。

ブログの子猫の時の画像は愛猫サイベリアンの紅茶くんです。親バカですが、かわいい!

実は、紅茶君は1歳過ぎに毎日嘔吐し、激痩せしてしまったことがありました。食欲はあるのですが、いくら食べても全部吐いてしまうのです。

サイベリアンは大型の猫なのですが、なんと2キロ台まで痩せてしまい、これはいよいよ命に関わりそう、という状況に。

血液検査をすると、好酸球という白血球が異常増殖していました。好酸球はアレルギーや寄生虫疾患が関与している時に増加することが知られています。

超音波検査では、若い猫なのに胃の出口の幽門といわれる場所と十二指腸の間の部分が肥厚していました。周囲のリンパ節も腫れています。こんなに若いのに、しこりがあり、腫瘍を疑うような所見です。

細い針をしこりに刺して細胞診をしてみたのですが、特別な所見は得られず。。。若い猫でもリンパ腫という病気は発症することのある腫瘍で好酸球も増加することもありますが、細胞診でしっぽをつかめることが多いです。今回は所見を得られなかったということは、リンパ腫ではないのか…??

麻酔をかけて内視鏡検査と好酸球増加の原因をさぐるべく骨髄生検を実施しました。

内視鏡をしてみて驚きました。

胃の出口から十二指腸にかけて内腔にせり出すようにしこりがあり、これのせいで通過障害を起こし、ごはんを食べても後ろの腸に送れない状態になっていたのです。そのしこりや周囲・骨髄も生検して麻酔下の処置を終わりにしました。

病理検査結果は好酸球性疾患、特に酸球性硬化性線維増殖症(GESF)を疑うというものでした。

この病気は世間に知られるようになって比較的まだ新しい疾患です。

まるで腫瘍のような見た目ですが、消化管に腫瘤ができる炎症性の消化器疾患です。消化管にしこりができるので、消化管型リンパ腫などの腫瘍と区別することが重要になります。ラグドールさんに多いのでは?などともいわれていますが、まだまだ分からないことが多い病気です。

消化管好酸球性硬化性線維増殖症(GESF)は、胃の出口(幽門)や小腸と大腸の境目(回盲部)にできやすいといわれており、病変部などに好酸球が主にみられることが特徴で、炎症とともに消化管が硬く厚くなったり、腫瘤を形成したりします。

原因としてアレルギーの関与や細菌の関与なども疑われていますが、まだ原因はわかっておらず、治療法も確立していません。

ちなみに紅茶君は6歳になりましたが、ステロイド剤とシクロスポリンの併用で良好な経過を辿っております。

投薬は生涯に渡る可能性が高いですが、体重も4キロ程度を維持できるようになりました!

若い猫が吐いている時は異物などを疑ってしまうことも多いですが、鑑別はそれだけではありません。

体重減少が著しい時にはこういった病気も視野に入れた検査が必要ですね!