猫ちゃんの誤食について
こんにちは。獣医師の佐々木です。
皆様の飼われているわんちゃんや猫ちゃんは食べ物以外のものを食べてしまうことはありませんか?実は、動物病院ではこのようなご相談はとても多いです。
ごく小さなもので自然とうんちに出てしまったり、運よく嘔吐した中から出てきてくれたりすると大事には至らないのですが、中には腸に詰まってしまって消化管閉塞を引き起こしてしまうケースがあります。
異物は消化管に詰まらなければ症状など出ないことも多いのですが、消化管に詰まってしまうと、食欲不振や嘔吐や腹部痛などを引き起こすことも多いです。
本日、ご紹介するアメリカンカールのまろちゃんも、お子様の作った工作についていたリボンを昨晩飲み込んでしまったといって、朝一番にご相談にいらしてくださいました。お話をお伺いすると、今のところ大きな変わりはないとのことでしたが、飲み込んでしまったかもしれないリボンは20センチはあるとのこと。。。
このまま様子を見て運よく嘔吐などで出てくれればいいのですが、リボンなどの長いひも状の異物は実はとっても危険なのです。紐や糸は腸に絡まりやすく、そうすると腸はたぐり寄せられ、よじれた状態で閉塞してしまいます。これは他の異物による閉塞よりも厄介で、腸の穿孔や壊死が生じやすいです。
ご相談のうえ、検査を進めていくことにしました。
レントゲン検査では紐などは映りませんが、胃の中に今朝食べたであろうご飯が沢山入っています。消化管ガスも多めです。
超音波の検査では今のところ消化管閉塞を示すような所見はありませんでした。これはまだ胃の中にご飯と一緒にあるのかも。。。
この時点では胃の中に確実にリボンがあるよ!とは言い難いのですが、もしも消化管に流れていってしまったら、と考えるとひも状異物は怖いのです。。。飼い主様とご相談して内視鏡の検査を実施し、リボンが見つかって取ることができそうなら内視鏡でとってみることにしました。
その結果、がこちら!
20センチどころではなく、40センチありました!!これは勇気を出して内視鏡検査にすすんでいただけて良かったケースです。まろちゃん、とても頑張ってくれました!!
今回はリボンが詰まる前に取り出すことができた症例のご紹介でした。
実際に来院される方は、食欲不振や嘔吐などが顕著に認められ、消化管閉塞が起こってから来院されるケースも多いです。また、ほんとにごく小さいもので、これなら排出されるでしょうと様子を見ていただくこともあります。この素材なら大丈夫でしょう、体格が大きいから様子をみていただいて大丈夫でしょうということもあります。
今回のように内視鏡をおすすめする場合もあれば、内視鏡でとれず、開腹になったりするケースもあり、時には緊急手術が適応になったりもする・・・ので、まさに異物はケースバイケースといえるでしょう。
こんなもの食べてしまった、どうしよう!と悩む前に、飲んだかもしれないものの実物と同じものがあれば持参していただきつつ、ぜひ早めのご相談をおすすめいたします。