子宮出血による重度貧血のうさぎさん(エキゾチックアニマル)さいたま市/南浦和/川口市/動物病院
こんにちは。獣医師の長尾です。
本日は子宮からの出血により、重度貧血を呈してしまったうさぎさんの、そらまるちゃんです。
3か月ほど前に血尿を認め、他院にて膀胱炎として治療をし、一時良化しましたがまたここ1か月ほどまた血尿が認められ食欲がないとのことでご来院されました。
来院時、すでに可視粘膜(鼻や口の中、結膜など)が蒼白で貧血が疑われました。
すぐに採血をしてみると、赤血球の濃さをみる数値が10%でした(正常は40%程)!
来院時のキャリーの中にも多量の血液が付着していました。膀胱炎での出血では基本的にこんなに貧血にはならないことがほとんどです。
膀胱炎での血尿、子宮疾患での血尿、どちらなのか迷うことはありますが、症状・検査などから区別できることが多いです。
そらまるちゃんも触診・超音波検査、どちらでも子宮の腫れが確認できました。
子宮の病気は基本的に手術をしないと治らないものです。そらまるちゃんも手術をすぐにでもしなくてはいけない状況でしたが、貧血が重度すぎて手術も耐えられるかわからない数値です。輸血も考えました(輸血は、人みたいに献血で血がストックされていることはなく、血をもらえるウサギさんを飼い主さまで探さなくてもらわなくてはいけないのでなかなか簡単にはできないのが現状です)。しかし、お預かり中もどんどん血が出てきてしまうので、飼い主様とご相談して、すぐに手術をしました。
そらまるちゃんも頑張ってくれてなんとか無事手術は終わりました。
術後はおもったより回復が早く、術後3週間の血液検査では貧血の数値は正常になっており、とても元気でした!よく頑張ってくれました。病理検査も幸い腺癌など悪性のものではなかったです。
悪性でなくても大量に出血するうさぎさんの子宮疾患・・・怖い病気です。
貧血の数値が15%以下の重度貧血は輸血も視野に入れなくてはいけなく、手術の危険度の分類も5段階中4と(ASA-PS Class4:死に至るほど重篤な全身疾患のある動物)、とても危険な状態です。
結果として、そらまるちゃんはとっても元気になってくれました。もし、手術を数日でもためらってしまっていたら・・・。高校生のお姉さんもご心配だったと思いますが、よくご家族で素早い判断をしていただけたと思います。
今回、そらまるちゃんは頑張ってくれましたが、過去には貧血で手遅れということも多々ありました。
女の子のうさぎさんの血尿は子宮疾患が多いのが現状です。
血尿を様子みる、手術を先送りにしてしまう、子宮疾患ではこれらが致命的になってしまうことが少なくないです。それは貧血もそうですが、すでに子宮が癌になっていて転移してしまった。など様々です。
最近では避妊手術をする子が増えています。そのため寿命も延びているといわれています。
もちろん手術の負担・リスクもありますが、子宮疾患の罹患率はとても高いものです。
そらまるちゃん、本当によく頑張ってくれました。