猫ちゃんの角膜黒色壊死症(犬・猫)さいたま市/南浦和/川口市/動物病院
こんにちは。獣医師の佐々木です。
角膜黒色壊死症、おそらく聞きなれない名前だと思いますが、猫ちゃんの目の病気です。
チビちゃんは目の表面に黒い部分があると言われて来院しました。
初診時の見た目です。右眼の角膜にうっすらと黒い部分が認められます。
特徴的な肉眼所見から黒色壊死症だと判断いたしました。
ペルシャやヒマラヤンなどに多いと言われていますが、MIXの猫ちゃんでも発症することがあります。角膜に対する慢性的な刺激が原因と考えられていて、猫ヘルペスウイルス感染症などの関連が疑われています。
チビちゃんはこれまでも慢性的に風邪のような症状があって、特に目やにや流涙など目の症状が強かったようです。
外科的な表層角膜切除という方法が基本的な治療になりますが、チビちゃんは眼疼痛も少なかったため、飼い主様と相談し、今回は抗ウイルス薬や角膜保護治療をしつつ、脱落を待つ方法で内科的に経過を追ってみることにしました。
この場合、かなり経過が長くかかることが予想されたため、あせらず経過を見ていくことが大切ということをお伝えさせていただきました。
その後、数か月かけてゆっくりと目の状態が変わっていきました。
写真がないのが惜しいのですが、はじめボンヤリとしていた黒い点は段々境界がくっきりとしてきました。
その後急激な変化を迎えたのが初診から7か月後です。角膜に肉芽が持って、周囲から潰瘍部にむかって血管が浸潤してきました。
その2週間後(初診時から7.5か月後)についに黒色部が脱落しました。肉芽や血管浸潤もも減少傾向です。
初診時から8か月後にはかなりきれいになってきました。角膜の白濁も薄れてきて、血管浸潤もさらに減少し、あともう一息です。
今回は内科的に黒色壊死症を治療した貴重な経験でしたので、飼い主様のご厚意もありブログにて報告させていただきました。
長期間にわたる数種類の毎日の点眼は非常に大変ですが、頑張られたチビちゃんと飼い主さんに拍手です!!
今後は、同じ目での再発や反対眼への発症などに注意が必要で、点眼治療は続くと思われますが、これからも経過観察を続けたいと思います。
(実は少し写真に写っていますが、飼い主様のとってもおしゃれなネイルに毎回ドキドキしたいた私です。)
※当ブログ上の画像および文章の転載、複製、改変等は禁止します。