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「ハムスターのしこり」診察の流れは?リスクは?(エキゾチックアニマル)さいたま市/南浦和/川口市/動物病院 

ジンベイ動物病院です。

ハムスターさんはシコリができることが多い生き物です。

私自身、沢山のハムちゃんを飼育してきて愛ハムに腫瘍が出来て亡くなってしまったことも幾度となく経験しています、自分が飼い主さまとしての立場に立つと、愛ハムにしこりが見つかった場合、やはりとても不安になり、どうしたらいいのか夜も眠れなくなると思います。

そこで、今回は皮膚や皮膚の下に「しこり」ができた場合、どのような流れで診察・治療するか

を軽くですが、記載します。

基本的にはケースバイケースですので治療に正解はありません。獣医師によっても考え方や、治療選択肢は様々なので、あくまでも「例」と考えてお読み頂ければと思います。

しっかり飼い主様と相談をして、この子にはどれが一番幸せか、ご納得いただいた上での検査・治療が大切です。それには、ハムちゃんの年齢や状態、しこりの位置なども関連しています。

例えば、ゴールデンハムスター、首にしこりというと「あ、形質細胞腫かな?」

などある程度検討がつくものもあります。

首の形質細胞腫は摘出が困難そうで予後が悪そうだな、とか、いろいろ予想できるものもあります。

ただ、基本的には「しこり」を見て触って診断がつくことはありません。

以下、例を挙げて実際どのようにしていくのか書いていきます。

「♀ジャンガリアンお尻にしこり」の子が来院された場合。

まず身体検査でしこりがどこにあるのか触診します、同時にその子の体調等を見ていきます。

やはり、しこりが見つかった場合、基本的には動物種とわず、そのしこりが何なのかを検査していくことになります。そしてそのシコリに対してどのような治療(手術や緩和的なもの)をすべきなのか?方針を立てていくことになります。上記しましたが当然年齢や体調などを踏まえて考えていくことになります。超高齢の子なら手術自体が選択肢に入らない場合もあります、その場合に痛い検査等はそもそも行わないことも。

話は戻って、しこりが見つかった場合、必ずしもしこり=癌ではありません。炎症や腫瘍、角化物が貯留したもの、液体が貯留したものなど様々な可能性があります。

それを調べていく方法は、生検といって一部細胞をとって細胞を見る検査になります。

例えば、人でも、健診で胃カメラをしたら、ぼこっとしたものが胃の中に見つかった場合、生検で一部取って検査して、炎症性のものなのか、癌など腫瘍なのかを見ていく、というような流れと同じです。

ハムスターの細胞を見る検査は基本的には無麻酔で細い針を刺して行います。ただ痛がって暴れてしまったり、出血しそうな場所などは、鎮静といって軽い麻酔をかけて行うこともあります。(当然ですが医療現場での沈静=薬を使用した麻酔です。人の歯医者さんでも笑気吸入鎮静などありますが似たものです。)

ただこの検査が必須なのかは、ハムスターさんの場合は様々です。

そもそも針を刺す検査のリスクもあります。

  刺した場所を齧ってしまう。

出血してしまう。

 痛みからショックを起こす。

 悪性細胞を播種させてしまう。

 鎮静が必要な場合は急変リスクがある。

などです。

なので、必ずしも生検を行わないこともハムスターさんではあります。

ここで、「しこり」が、まず手術でとれるのか取れないのかを考える必要があります。

たとえば、しこりがいろんな骨にくっついていて摘出困難な場合、生検をしたところで手術できないので生検をしない場合があります。また、先ほども書きましたが、高齢で手術に耐えられない可能性が高い場合などは同様に生検は行わないことも。

手術で取れそうなしこりの場合、もしかしたら炎症かもしれない(炎症で膿瘍になっている場合は内科的に治ることも)可能性を考えやはり生検をすることを考えます。ただ、生検リスクもあるので、炎症っぽければ生検せずに内服薬から様子をみることにすることもあります。また、乱暴ですが、取れそうなら生検せずにOPEにてとってしまうことも。⇒ハムスターさんのしこりはこのパターンも多いです。

そのため、総合的に判断をして取れそうなら手術をする、取れなさそうなら手術以外の方法を考える。といった具合です。炎症のこともありうるので、検査をしないでまずは抗生物質などの投与で改善するかを見ていくこともあります。

しかし、実際その場になってしまうと、なかなか手術という決断ができないことが多いのも事実です。

そのため、方針を決める材料として生検や内服にて反応をみることを提示させていただくことがあります。

ここで、検査のための麻酔や手術の時の麻酔ですが、当然麻酔をかけるということはリスクがあります。最悪急変もありえます。ましてや癌や肉腫といった悪性腫瘍を持っている場合、元気そうにみえても状態がギリギリということも考えられます(被捕食者として元気そうに見せている)。なので「元気だった子が麻酔で急変した」ということも起こる可能性があります。ワンちゃんネコちゃんであれば血液検査をして麻酔をかけれるか判断して・・・という流れになりますが、ハムちゃんサイズでは検査に必要な採血量を取ること自体が危なかったり採血に麻酔が必要になることもあります。なので、なかなか麻酔前の評価が難しい側面もございます。

長くなってしまいましたが、しこりを見つけた場合、検査の方針や治療の方針に正解はありません。

なにをすることが一番幸せであるかを考えて飼い主様と方針を決めていくことが大切です。

また「何もしない」という選択肢もあります。これも間違ったことではないですし、ご相談の結果「何も、しない」がベストの結果になることも。しかし、皆さま病院にしこりを見つけていらしている時点で異常に気付かれて、不安で何かできることがないか?というご気持ちでご来院されている方がほとんどなので、病院としては何か少しでもできることがないかご相談できればと思います。

最後に、例に出したハムちゃんですが、

元気でしこりもコロコロして動くなら、手術を第一に考えてもいいかもしれませんし、高齢でしこりの成長もゆっくりであまり悪さしていないなら様子をみてもいいかもしれません。逆に、元気だけど、しこりが筋肉などに固着している場合は手術できない可能性もあるため炎症として治療してみたり生検もありです。高齢でもしこりが急成長しているなら手術も選択肢です。生検に関しては上記に記載してきましたが、考え方になりますが、取れないしこりであっても、生検することで腫瘍だったという確認ができた場合飼い主様の決心がつくこともあるため実施することもあります。長くなりましたがしこりといっても様々です、上記しましたがジンベイ動物病院では、飼い主さまと相談して納得のいく方針をたてていくことを第一に考えております。

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